NUDGE TALK「食べることを楽しめる社会へ」
こんにちは、エネルギー・サステナビリティ事業本部の葦津紗恵(あしづさえ)です。私は今、サーキュラーエコノミーに関する仕事をしています。
例えば、食品ロス。年末のスーパーで、おせち料理にたくさん値引きシールが貼られている光景を目にした方も多いのでは?あれは、閉店後どうなったのでしょう…。先進国に限らず、大量の食品が流通の途中や家庭で、捨てられています。日本だけでも何と年間500万トン以上。多くの食べ物は、遠く離れた場所で収穫され、長距離トラックで運ばれ、加工や調理に手間とエネルギーをかけられ、コールドチェーンを切らさないよう丁寧に運ばれて…捨てられているのが現実。つまり、食品ロス対策は運んだり調理したりするエネルギーを無駄にしないことにもなるのです。つけっぱなしの電気を消すのと同じように、食品ロス対策は「省エネ」にも役立ちます。
仕事では、食品ロス削減に役立つ技術を調べたり、統計データからどんなことが言えるのかを分析したりしています。そして、どんな技術でどれだけの食品ロスを減らせそうか、未来の社会がどんな姿になればロスが出にくいのかを考えます。
ただ、私はどんな問題も、多くの人がたくさんの我慢をしながらでは、結局のところ解決しないと思っています。だからいつも、面白そうな商品や楽しく続けられるサービスがあると試し、実際に食べ物をつくってみてリアルな生活に落とし込むことを大切にしています。例えば、販売するには賞味期限が短すぎる食品をレスキューするサブスク、なすのヘタやだいこんの皮で作ったお菓子。どんなものが届くのかしら?子どもたちも食べたい味かしら?素直な反応が知りたくて、子どもたちにはあえて社会課題は説きません。自宅にある太陽光発電やエネファームも、まるで「あるのは当たり前」といった雰囲気で、家族にはあまり能書きを垂れずに使っています。少し未来を先取りし、密かにミニマムな社会実験をしているわけです。
最近、自宅でオリーブの実を収穫しています。自分でオリーブオイルを作ってみたかったのですが、たくさん収穫してもほんの少ししか作ることができず、自宅ではとても無理だと知りました。あく抜きして食べられるようにするのもひと苦労。その分、食べられるようになった時には感無量です。
五感を使って感じとった「実態」から拡張した思考だけが、現実と紐づきます。これからも未来の子どもたちが食べることを楽しめる社会になるよう願いながら、未来に向けて想像の翼を広げながらも、手触り感のあるリアリティを大切に、社会システムを構想していきたいと思います。
編集:グループ広報部